俺的BOOK2007

travelation2008-01-12


《小説編》
面白い小説がないと感覚的に感じるから小説を読まなくなったのか?
「恋空」でも読んで、改めて小説の楽しさを知ろうかな。是、凡庸也。

【1】富士/武田泰淳(1971)
http://www.fujisan-net.jp/data/article/1055.html
極めて厄介な本。人間の「文脈」を暴いていく作業は今日的ではないから。
「文脈」にない「記号」人間の軽薄さを知れば知るほど、孤立する山になる。


【2】となり町戦争/三崎亜紀(2004)
http://www.shueisha.co.jp/misaki-aki/tonari/index.html
現代の戦争は見えない。システマティックに機械が人を殺め、利益をはじくから。
そのシステムとしての戦争をとなり町同士でしたら?少し見えるのだ、アレが。


【3】世界の終わりの終わり/佐藤友哉(2007)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200705000134
自分のヘタレさを独白していく内容だが、そのヘタレさになぜか共感できる。
くるり等を引用する同時代性の文脈か。終わりの終わりは「始まり」という。


【4】私という運命について白石一文(2005)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=200501000176
あらかじめ決められた運命とは、結局はトム・ヨークよろしく社会的なもの。
そうじゃない運命があるとしたら。それは福音の調べのように感動を呼ぶはず。


【5】暗闇の中で子供-The Childish Darkness-/舞城王太郎(2002)
http://www.bk1.jp/review/0000120046
このスピード感、天晴れです。メタ世界とベタ世界からの引用も面白い。
小学生は夏目漱石より舞城で読書感想文書くほうが、「マトモ」かも。


《教養編》
偏ったもんしか読んでない。社会学的なものばかり。これじゃダメだ。
来年は観念系でもいってみようかしら。でも広告系になるだろうな。


【1】ウェブ社会の思想―“遍在する私”をどう生きるか/鈴木謙介(2007)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9982054899
ウェブ社会では、「私」はパターン・属性化されて未来を割り振られる。
ほら、Amzonが勝手にお気に入りを教えてくれるでしょ。「私」って誰?


【2】東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム/東 浩紀、北田 暁大(2007)
http://spn06023.co.hontsuna.com/article/1826460.html
「人間工学的に正しい」東京へ「均一化」、「記号化」されていく社会で、我々は
「動物的」に享受するか「人間的」に対抗するかという二項対立はもはや古いようだ。


【3】生き延びるためのラカン斉藤環(2006)
http://www.basilico.co.jp/book/books/4862380069.html
一億総プチ精神患いになっている昨今、自意識過剰に「心の闇」を語る阿呆ほど、
どこにでもいる奴なんです。精神を患うフリはこの本を読んで改めるべし。


【4】ised-情報社会の倫理と設計についての学際的研究-(2004)
http://www.glocom.jp/
WEB2.0まことしやかに言われているけど、情報社会の未来とか正直分からん。
まずは、本質を掴むために広角的に足場を確認する。そのための教材として抜群。


【5】「おたく」の精神史~1980年代論~/大塚英志(2004)
http://www.bk1.co.jp/product/2406455
80〜00年代にかけての「おたく」の変化とは? 深層(大きな物語)を失い表層で
戯れるようになってしまったようだ。現代の「おたく」は「お宅」から出られない。