「世界の終わりの終わり/佐藤友哉(2004)

良く聞け、締まりのない顔と締まりのない股ぐらを持ち、だらしなく街をうろつき回るお前よ、俺は犬だ、ワンちゃんだ、俺は腐るほどの金と有り余る物質に囲まれてママのバイオリンを聴きながら育ってもいないし、気心の知れた仲間たちに囲まれて可愛い彼女と花火見物をするような青春を過ごしてもいない。
俺はただ、真っ赤で激しい煮立ったような血を所持した一つの存在であるだけだ!